ここから暫くは、アクセスインターナショナル破綻後の
ある代理店についてお話して行きましょう。
ここは筆者の旧くからの知り合いで、
地方で営業をしていた中規模の代理店です。
中規模ながら発券量は結構な数でしたから、
当然、他代理店のように保証金の上積みを要求されました。
同社は苦しい中ではあったものの、ANA/全日空の発券機を
返上するわけにも行かず、ANA/全日空から言われるままに、
それまでの1,000万から1,000万アップの約2,000万円の保証金を捻出。
ANA/全日空に納めて営業を続けていました。
しかし、JAL/日本航空が破綻した事や、ANA/全日空の
手数料大幅削減の煽りを受けて、その経営は決して楽なものでは
無かったようです。
同社は従来からアクセスインターナショナルとは取引があり、
10月~11月にかけて受付を完了していた年末年始の発券を、
12月中旬以降にアクセスインターナショナルで発券し
資金フローを回転させるつもりだったようです。
ところが、11月末にアクセスインターナショナルが破綻したため、
発券先を失った同店は、
それまで極力抑えて来た自社発券をせざるを得なくなりました。
発券をし出して3日後。
ANAセールス担当者から電話がかかって来たそうです。
「発券量が随分大量になっていますが大丈夫ですか?」
ANAセールス担当者は、これまで滅多に顔も出さない、
電話もしないという、いわばプレミア的人物でした。
電話を受けた代理店にしても、
これまでの支払いで一度の遅延も無く、保証金も納めているので
あまり気にしていなかったようです。
しかしここで、ANAセールス担当者は、
意外な一言を発したのです。
「これ以上発券するようでしたら、前払いで入金してください
それが出来ないようであれば、発券用のロール紙は出せません。」
従来、ANA/全日空の支払いサイクルは、1カ月を3分割し、
前月21日~月末までを翌月の10日払い。
1日~10日までを20日に支払い。
11日~20日までを30日に支払い
という形になっています。
同社は既に前月21日~月末までの分を、10日では無く
3日の段階で納めていました。
その直後、また追加で納めるよう指示して来たのです。
それを納めない限り発券はさせない。
発券機があっても、ロール紙が無ければ航空券は発券できません。
彼らはそれを出さないと言って来たのです。
仕方なく同社は言われるままに追加入金を行いました。
しかし更に2日後、また追加指示が来る事となります。
10日間の間に3度支払いをしたのですから、
当然回転すべき資金フローに圧迫が生じます。
こうして同社の悲劇は幕を開けたのです。
2011年1月25日火曜日
2011年1月24日月曜日
ANA/全日空の目指す業界再編とは その3
旅行業界の最新情報を紹介する、
「トラベルビジョン」というHPがあります。
トラベルビジョン
http://www.travelvision.jp/
2011年1月20日の記事に、興味深い記事がありました。
ANAセ、ウェブ販売強化で取扱高600億円へ-顧客化、訪日旅行にも注力
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=47491
ANAセ=ANAセールス。
ANA/全日空の販売実行部隊であるセールス部門です。
株主優待券も含んで、ネット上で航空券の販売を
行っている業者は少なくはありません。
中小エージェントもそれぞれHPを作成し、
次々とネット上での販売を行っています。
そんな中、航空会社であるANA/全日空、JAL/日本航空を
はじめとして、SNA/スカイネットアジア、SKY/スカイマーク
SFJ/スターフライヤー、ADO/エアドウなど、
ありとあらゆる会社がWebでの業績を伸ばして来ました。
やはり、24時間予約が可能であることと、Web上での最大の利点である
クレジットカード、コンビニ決済を始めとする各種決算方法に
対応する事で、利用客は通常のリアル店舗からネットへ、
ひいては旅行代理店から直接航空会社へという図式が
出来あがってきました。
これは顧客側にとっては大変便利なものと言えます。
しかし、上記記事には以下の記述があります。
2010年度に国内外商品あわせて取扱高300億円を達成する見込み
であることから、今年度は2倍の600億円をめざす。
彼らが300億円を600億円、2倍にするためには、
既存のWeb業者、代理店の排除が必要不可欠な要素であったのです。
JAL/日本航空が弱体化している今のうちに、
社内のリストラを含め、あらゆる対抗要素を徹底的に排除し、
SNA、SFJ等を、「コードシェア」という名で事実上の子会社化、
徹底して日本の空を独占しようとするANA/全日空の思惑には、
頭が下がる思いです。
これがANA/全日空の目指す最終目標。
資本主義である以上、企業としては適切な判断ですし、
当然必要な事なのかもしれません。
確かに企業内には1兆7千億円を越える累積赤字が
現実として存在しているのですから。
しかし、それはある意味「独占禁止法」のギリギリのラインに
抵触しないようにコントロールしている、
ANA/全日空の、「最強の法務部」無くしては出来ない
芸当であるとも言えます。
現に彼らは「証拠を残さず潰す」という
やり方を行っているのですから・・・
次回からはそのあたりに触れて行きたいと思います。
「トラベルビジョン」というHPがあります。
トラベルビジョン
http://www.travelvision.jp/
2011年1月20日の記事に、興味深い記事がありました。
ANAセ、ウェブ販売強化で取扱高600億円へ-顧客化、訪日旅行にも注力
http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=47491
ANAセ=ANAセールス。
ANA/全日空の販売実行部隊であるセールス部門です。
株主優待券も含んで、ネット上で航空券の販売を
行っている業者は少なくはありません。
中小エージェントもそれぞれHPを作成し、
次々とネット上での販売を行っています。
そんな中、航空会社であるANA/全日空、JAL/日本航空を
はじめとして、SNA/スカイネットアジア、SKY/スカイマーク
SFJ/スターフライヤー、ADO/エアドウなど、
ありとあらゆる会社がWebでの業績を伸ばして来ました。
やはり、24時間予約が可能であることと、Web上での最大の利点である
クレジットカード、コンビニ決済を始めとする各種決算方法に
対応する事で、利用客は通常のリアル店舗からネットへ、
ひいては旅行代理店から直接航空会社へという図式が
出来あがってきました。
これは顧客側にとっては大変便利なものと言えます。
しかし、上記記事には以下の記述があります。
2010年度に国内外商品あわせて取扱高300億円を達成する見込み
であることから、今年度は2倍の600億円をめざす。
彼らが300億円を600億円、2倍にするためには、
既存のWeb業者、代理店の排除が必要不可欠な要素であったのです。
JAL/日本航空が弱体化している今のうちに、
社内のリストラを含め、あらゆる対抗要素を徹底的に排除し、
SNA、SFJ等を、「コードシェア」という名で事実上の子会社化、
徹底して日本の空を独占しようとするANA/全日空の思惑には、
頭が下がる思いです。
これがANA/全日空の目指す最終目標。
資本主義である以上、企業としては適切な判断ですし、
当然必要な事なのかもしれません。
確かに企業内には1兆7千億円を越える累積赤字が
現実として存在しているのですから。
しかし、それはある意味「独占禁止法」のギリギリのラインに
抵触しないようにコントロールしている、
ANA/全日空の、「最強の法務部」無くしては出来ない
芸当であるとも言えます。
現に彼らは「証拠を残さず潰す」という
やり方を行っているのですから・・・
次回からはそのあたりに触れて行きたいと思います。
2011年1月22日土曜日
ANA/全日空の目指す業界再編とは その2
アクセスインターナショナルが破綻した2010年11月30日以降、
発券機を持たず、アクセスインターナショナルを発券先としていた
多くの中小旅行代理店が行き詰る事になります。
12月1日以降と言えば、年末年始の発券で相次ぐ時期。
ですが、年末年始には割引の航空券が一切存在しません。
「旅割」、「特割」はおろか、「往復運賃」さえ存在しなくなります。
この時期に航空券を利用する方は、
定価運賃で搭乗するしか手法が無いのですが・・
ひとつだけ方法があるのです。
航空会社には「株主優待券」というものが存在します。
これは、株主へ「全路線全期間半額利用可能」という条件で、
年に2回(6月、11月)にある種配当として配布されているものです。
6月に発行される株主優待券は、翌年5月31日まで利用可能。
11月に発行される株主優待券も、翌年5月31日まで利用可能
となっています。
現在、複数の航空会社で発行されている同券ですが、
JAL/日本航空は当然破綻しているため、
株主優待券の発行は行っていません。
多額の投資をしている株主には、当然多くの枚数が配布されます。
しかし、そこまで多くの航空機を利用する機会も無いため、
金券ショップやブローカー等にこの株主優待券を転売します。
それによって現金としての利ザヤを取れるわけです。
中小エージェントは、ここに目を付けました。
その株主優待券を購入し、発券を行う事で年末年始やお盆の時期に、
割引航空券として販売する事が可能だったからです。
しかも、11月末に新券(下半期の株主優待券)が配布されれば、
市場には一旦株主優待券が溢れる形になりますので値がこなれます。
そうすれば安価に株主優待券を仕入れることが可能で、
航空券販売価格-(半額運賃+株主優待券)=利益
の計算式だと大幅に利益率を向上させる事が可能です。
更に発券手数料も2.5%ですから、ある程度十分に収益を得ることが
可能となるのです。
そのため、年末年始の予約開始は10月半ばあたりからが相場で、
「先行予約」と呼ばれる先取り予約を受け付ける事によって、
殆どのエージェントはお客様から先に代金をお預かりしています。
言わば絶対に発券しなくてはならない状態でした。
しかし、その最大手の発券先を潰された中小エージェントは、
発券先を探して右往左往する事になります。
もっとも、自社に発券機を持っていた中小エージェントは、
とりあえず自社発券機で発券を行う事になるのですが・・・
これが悲劇を生むことになるのでした。
そこに、ANA/全日空の陰謀が潜んでいるとも知らず・・
発券機を持たず、アクセスインターナショナルを発券先としていた
多くの中小旅行代理店が行き詰る事になります。
12月1日以降と言えば、年末年始の発券で相次ぐ時期。
ですが、年末年始には割引の航空券が一切存在しません。
「旅割」、「特割」はおろか、「往復運賃」さえ存在しなくなります。
この時期に航空券を利用する方は、
定価運賃で搭乗するしか手法が無いのですが・・
ひとつだけ方法があるのです。
航空会社には「株主優待券」というものが存在します。
これは、株主へ「全路線全期間半額利用可能」という条件で、
年に2回(6月、11月)にある種配当として配布されているものです。
6月に発行される株主優待券は、翌年5月31日まで利用可能。
11月に発行される株主優待券も、翌年5月31日まで利用可能
となっています。
現在、複数の航空会社で発行されている同券ですが、
JAL/日本航空は当然破綻しているため、
株主優待券の発行は行っていません。
多額の投資をしている株主には、当然多くの枚数が配布されます。
しかし、そこまで多くの航空機を利用する機会も無いため、
金券ショップやブローカー等にこの株主優待券を転売します。
それによって現金としての利ザヤを取れるわけです。
中小エージェントは、ここに目を付けました。
その株主優待券を購入し、発券を行う事で年末年始やお盆の時期に、
割引航空券として販売する事が可能だったからです。
しかも、11月末に新券(下半期の株主優待券)が配布されれば、
市場には一旦株主優待券が溢れる形になりますので値がこなれます。
そうすれば安価に株主優待券を仕入れることが可能で、
航空券販売価格-(半額運賃+株主優待券)=利益
の計算式だと大幅に利益率を向上させる事が可能です。
更に発券手数料も2.5%ですから、ある程度十分に収益を得ることが
可能となるのです。
そのため、年末年始の予約開始は10月半ばあたりからが相場で、
「先行予約」と呼ばれる先取り予約を受け付ける事によって、
殆どのエージェントはお客様から先に代金をお預かりしています。
言わば絶対に発券しなくてはならない状態でした。
しかし、その最大手の発券先を潰された中小エージェントは、
発券先を探して右往左往する事になります。
もっとも、自社に発券機を持っていた中小エージェントは、
とりあえず自社発券機で発券を行う事になるのですが・・・
これが悲劇を生むことになるのでした。
そこに、ANA/全日空の陰謀が潜んでいるとも知らず・・
ANA/全日空の目指す業界再編とは その1
12月1日以降の発券を止めると宣言し、2億円の保証金を要求して、
アクセスインターナショナルを破綻へ導いた
ANA/全日空の狙いは一体何だったのでしょうか。
彼らは実に用意周到に今回の計画を進めています。
アクセスインターナショナルが、売上高は上がっていたのに
収益面の問題で結果的に赤字体質に陥ったのは、
「手数料の大幅減少」が大きな原因の1つと言えます。
この手数料は大きく
1.「個札(こさつ)」と呼ばれる正規運賃(旅割、特割含)
2.「株主優待券」を使用した特別運賃
3.パック、ツアーなどの販売手数料
の3種類に分かれています。
蜜月(旅行代理店に航空会社が集客を頼っていた)時代には、
これら全てが10%を越えていた時期もあると言います。
しかし、JAL/日本航空破綻後の2010年4月1日より、
1と2 4.5%→2.5%
3.10%据え置き
という措置に変更となりました。
事実上、航空券の発券が中心であったアクセスインターナショナルは、
航空券の手数料を2.5%にされる事により大幅な減益を
余儀なくされたのです。
1000万の発券をすれば、45万の利益が出ていた処を、
一気に25万まで引き下げられてしまえば、
普通の企業としてもかなり苦しい立場へ追い込まれるでしょう。
その上で2億の保証金を寝かせろというのですから。
2.5%しか手数料をよこさないものに対して2億の保証金。
これで割が合うわけではありませんから、
アクセスインターナショナルは破綻するしか手が無かったのです。
明らかに代理店潰しの罠にハメられたと言っても過言では無いでしょう。
しかし、アクセスインターナショナルの破綻は、
もっと多くの倒産、縮小を引き起こすための布石でしかなかったのです。
アクセスインターナショナルを破綻へ導いた
ANA/全日空の狙いは一体何だったのでしょうか。
彼らは実に用意周到に今回の計画を進めています。
アクセスインターナショナルが、売上高は上がっていたのに
収益面の問題で結果的に赤字体質に陥ったのは、
「手数料の大幅減少」が大きな原因の1つと言えます。
この手数料は大きく
1.「個札(こさつ)」と呼ばれる正規運賃(旅割、特割含)
2.「株主優待券」を使用した特別運賃
3.パック、ツアーなどの販売手数料
の3種類に分かれています。
蜜月(旅行代理店に航空会社が集客を頼っていた)時代には、
これら全てが10%を越えていた時期もあると言います。
しかし、JAL/日本航空破綻後の2010年4月1日より、
1と2 4.5%→2.5%
3.10%据え置き
という措置に変更となりました。
事実上、航空券の発券が中心であったアクセスインターナショナルは、
航空券の手数料を2.5%にされる事により大幅な減益を
余儀なくされたのです。
1000万の発券をすれば、45万の利益が出ていた処を、
一気に25万まで引き下げられてしまえば、
普通の企業としてもかなり苦しい立場へ追い込まれるでしょう。
その上で2億の保証金を寝かせろというのですから。
2.5%しか手数料をよこさないものに対して2億の保証金。
これで割が合うわけではありませんから、
アクセスインターナショナルは破綻するしか手が無かったのです。
明らかに代理店潰しの罠にハメられたと言っても過言では無いでしょう。
しかし、アクセスインターナショナルの破綻は、
もっと多くの倒産、縮小を引き起こすための布石でしかなかったのです。
2011年1月21日金曜日
アクセスインターナショナル 破綻の真相
では、何故アクセスインターナショナルが破綻に至ったのか。
今回はそれについて触れて行きましょう。
前回、航空会社の保証金について書きましたが、
アクセスインターナショナルに限らず、大手のエージェントは
最低でも5000万単位の保証金を積んでいます。
この保証金は当然、各社の資金繰りの中から捻出され、
各航空会社に収められます。
収められたらそれが今生の別れ。
勿論、発券機を返納した場合にのみ戻って来るものの、
航空会社によって債権保全費用として保全され、
航空券を発券し続ける以上、二度と手元に戻って来る事はありません。
いわば企業にとっては、自社の金子であるにも関わらず、
資金フローに入れることが出来ない「死に金」に近い形になります。
もっとも、航空会社としても取っぱぐれを防ぐための、
防衛手段としての保証金ですから、いわば当然。
よってこの存在云々をとやかく言う積りは毛頭ありません。
問題なのはその「額」
つい3年程前ですが、別の大手エージェントでこんな事がありました。
その会社は保証金として、ANA/全日空に
1000万円の保証金を納めて営業をしていました。
ある日、ANA/全日空はこんな通達を出して来たのです。
「保証金を1億円に増額して下さい。」
確かにそのエージェントでは発券量も割と多かったのですが・・
1000万の保証金を、突然1億。
通常の資金フローでは考えにくい金額でした。
しかも保証金となれば、死に金です。
1企業くらいなら簡単に倒産してしまう額です。
結果、そのエージェントは発券機を返納しました。
実は、アクセスインターナショナルも同様のケースなのです。
当時、アクセスインターナショナルは5,000万円の保証金を
ANA/全日空に対して納めていました。
ところが2010年11月。
ANA/全日空からこんな通達が舞い込んで来たのです。
保証金を今月中に2億になるよう上積みせよ。
条件を満たさない場合には、12月1日からの発券はさせない。
当然折衝は行われましたが平行線を辿りました。
2億円。
とても月内に用意出来る金額ではありません。
しかも、資金フロー以外に準備しなければならない額です。
発券が出来なければ、当時航空券販売を主体事業としていた
アクセスインターナショナルの営業自体が滞ります。
しかし、今どき2億の金をはいそうですかと準備するならまだしも、
寝かす余裕のあるような企業が幾つもある筈がありません。
「そこまでされるのなら飛んでやるよ。」
新聞やニュースでは資金繰りの悪化だけが取り上げられていますが、
裏にはこういった事情があったのです。
こうして、ANA/全日空の第1種認可代理店である
アクセスインターナショナルは、自らその幕を降ろしたのでした。
そしてここから、ANA/全日空の
全国の代理店潰しが本格化することになるのです。
今回はそれについて触れて行きましょう。
前回、航空会社の保証金について書きましたが、
アクセスインターナショナルに限らず、大手のエージェントは
最低でも5000万単位の保証金を積んでいます。
この保証金は当然、各社の資金繰りの中から捻出され、
各航空会社に収められます。
収められたらそれが今生の別れ。
勿論、発券機を返納した場合にのみ戻って来るものの、
航空会社によって債権保全費用として保全され、
航空券を発券し続ける以上、二度と手元に戻って来る事はありません。
いわば企業にとっては、自社の金子であるにも関わらず、
資金フローに入れることが出来ない「死に金」に近い形になります。
もっとも、航空会社としても取っぱぐれを防ぐための、
防衛手段としての保証金ですから、いわば当然。
よってこの存在云々をとやかく言う積りは毛頭ありません。
問題なのはその「額」
つい3年程前ですが、別の大手エージェントでこんな事がありました。
その会社は保証金として、ANA/全日空に
1000万円の保証金を納めて営業をしていました。
ある日、ANA/全日空はこんな通達を出して来たのです。
「保証金を1億円に増額して下さい。」
確かにそのエージェントでは発券量も割と多かったのですが・・
1000万の保証金を、突然1億。
通常の資金フローでは考えにくい金額でした。
しかも保証金となれば、死に金です。
1企業くらいなら簡単に倒産してしまう額です。
結果、そのエージェントは発券機を返納しました。
実は、アクセスインターナショナルも同様のケースなのです。
当時、アクセスインターナショナルは5,000万円の保証金を
ANA/全日空に対して納めていました。
ところが2010年11月。
ANA/全日空からこんな通達が舞い込んで来たのです。
保証金を今月中に2億になるよう上積みせよ。
条件を満たさない場合には、12月1日からの発券はさせない。
当然折衝は行われましたが平行線を辿りました。
2億円。
とても月内に用意出来る金額ではありません。
しかも、資金フロー以外に準備しなければならない額です。
発券が出来なければ、当時航空券販売を主体事業としていた
アクセスインターナショナルの営業自体が滞ります。
しかし、今どき2億の金をはいそうですかと準備するならまだしも、
寝かす余裕のあるような企業が幾つもある筈がありません。
「そこまでされるのなら飛んでやるよ。」
新聞やニュースでは資金繰りの悪化だけが取り上げられていますが、
裏にはこういった事情があったのです。
こうして、ANA/全日空の第1種認可代理店である
アクセスインターナショナルは、自らその幕を降ろしたのでした。
そしてここから、ANA/全日空の
全国の代理店潰しが本格化することになるのです。
発券機の条件
航空券はどのようにして発券されているのかをご存知でしょうか。
チケットレスとなった現在でも、
当然、チケットレスナンバーを含む形で
航空券の発券は行われています。
航空券の発券を行うのは
ANA/全日空、JAL/日本航空や、SKY/スカイマーク
といったいわゆる「キャリア」は当然として、
全国各地に点在するエージェント、
いわゆる、旅行代理店です。
代表的なものではJTB(株式会社ジェイティービー)や
NTA(日本旅行)がありますが、
その他の小さな旅行代理店でも発券を行えます。
しかし、発券を行うためには「発券機」を設置する必要があり、
その発券機の設置条件は非常に厳しいものとなっています。
たとえば、オフィスの広さ、店舗の場所。
更に従業員数、過去2年の決算状況などを全て監査した上で
発券機を設置することを認めます。
発券機を設置するためには更に
「保証金」というものを航空会社に収める必要があります。
いわば担保。
航空業界は原価率が高く、一旦回収困難になると、
大きな被害金額となるため、債権保全の意味からも
保証金を要求しています。
保証金の金額は、「発券量に応じて」となってはいますが、
実際には100万~5000万といった風に、会社によって
かなり開きがあります。
小規模エージェントは、おおむね100万~500万程度
というのが相場でした。
この保証金の金額によって、
各エージェントが発券出来る量は違って来ます。
100万の保証金を積み立てているエージェントは、
ほぼ1億の発券は出来ません。
発券の状況は各キャリアが常時監視しています。
よって、小さなエージェントでは大量に発券する事は出来ないため、
大手のエージェントに発券を依頼する仕組みが出来あがります。
大手のエージェントは多く発券出来るため、
航空会社から多めのキックバックを貰い、それを還元する
という仕組みになっているのが通常でした。
たとえばこのような感じです。
航空会社(利益率85%)
↓ (手数料15%で卸)
大手エージェント(利益率10%)
↓ (手数料5%で発券)
小規模エージェント(利益率5%)
大手エージェントにも10%、小規模エージェントにも
5%のキックバックが残る仕組みです。
小規模エージェントは、自分のところで発券しても、
元々5%なので、持ちつ持たれつといった感じ。
これまではこのような仕組みで、
各社は稼いで来たのでした。
ちなみに、先日書いた「アクセスインターナショナル」は、
ANA/全日空航空券の発券にかけては全国でも指折りの
大手発券先でした。
しかし、アクセスインターナショナルは倒産しました。
航空券販売が好調で売上高が
38億8647万円となったものの、利益率が低下して減益。
航空券販売でカバーして41億8371万円に売上高を伸ばしたものの、
利益面では収益性が悪化。
この原因はまさに、JAL/日本航空の失脚によって、
ベースが完全に崩れ去り、ANA/全日空の暴走が始まった結果なのです。
次回からはいよいよ核心に触れて行きたいと思います。
チケットレスとなった現在でも、
当然、チケットレスナンバーを含む形で
航空券の発券は行われています。
航空券の発券を行うのは
ANA/全日空、JAL/日本航空や、SKY/スカイマーク
といったいわゆる「キャリア」は当然として、
全国各地に点在するエージェント、
いわゆる、旅行代理店です。
代表的なものではJTB(株式会社ジェイティービー)や
NTA(日本旅行)がありますが、
その他の小さな旅行代理店でも発券を行えます。
しかし、発券を行うためには「発券機」を設置する必要があり、
その発券機の設置条件は非常に厳しいものとなっています。
たとえば、オフィスの広さ、店舗の場所。
更に従業員数、過去2年の決算状況などを全て監査した上で
発券機を設置することを認めます。
発券機を設置するためには更に
「保証金」というものを航空会社に収める必要があります。
いわば担保。
航空業界は原価率が高く、一旦回収困難になると、
大きな被害金額となるため、債権保全の意味からも
保証金を要求しています。
保証金の金額は、「発券量に応じて」となってはいますが、
実際には100万~5000万といった風に、会社によって
かなり開きがあります。
小規模エージェントは、おおむね100万~500万程度
というのが相場でした。
この保証金の金額によって、
各エージェントが発券出来る量は違って来ます。
100万の保証金を積み立てているエージェントは、
ほぼ1億の発券は出来ません。
発券の状況は各キャリアが常時監視しています。
よって、小さなエージェントでは大量に発券する事は出来ないため、
大手のエージェントに発券を依頼する仕組みが出来あがります。
大手のエージェントは多く発券出来るため、
航空会社から多めのキックバックを貰い、それを還元する
という仕組みになっているのが通常でした。
たとえばこのような感じです。
航空会社(利益率85%)
↓ (手数料15%で卸)
大手エージェント(利益率10%)
↓ (手数料5%で発券)
小規模エージェント(利益率5%)
大手エージェントにも10%、小規模エージェントにも
5%のキックバックが残る仕組みです。
小規模エージェントは、自分のところで発券しても、
元々5%なので、持ちつ持たれつといった感じ。
これまではこのような仕組みで、
各社は稼いで来たのでした。
ちなみに、先日書いた「アクセスインターナショナル」は、
ANA/全日空航空券の発券にかけては全国でも指折りの
大手発券先でした。
しかし、アクセスインターナショナルは倒産しました。
航空券販売が好調で売上高が
38億8647万円となったものの、利益率が低下して減益。
航空券販売でカバーして41億8371万円に売上高を伸ばしたものの、
利益面では収益性が悪化。
この原因はまさに、JAL/日本航空の失脚によって、
ベースが完全に崩れ去り、ANA/全日空の暴走が始まった結果なのです。
次回からはいよいよ核心に触れて行きたいと思います。
2011年1月20日木曜日
巨象が蟻に食われる
スカイマークという会社をご存じでしょうか。
恐らく、空の便を利用された方なら殆どがこの名前を聞いた事が
あると思います。
スカイマークは、1996年11月に現エイチ・アイ・エス社長である
澤田秀雄氏を大手出資者として設立。
1998年(平成10年)に福岡=羽田路線を運航開始しました。
その料金たるや当時の状況からすれば破格値で、
普通運賃(定価)をANA/全日空、JAL/日本航空の半額程度。
当然ほぼ満席状態で毎日運航されていました。
機内は確かに狭かったものの、少しでも安くという一般消費者の
搭乗は減ることが無く、堅調に業績を伸ばして行きました。
当然、これで面白く無くなったのは既存のANAやJAL。
スカイマークの前後便に、その定価とほぼ同額にした便を設定。
対抗を図ったのです。
この時は顧客が同価格のため分散。
結果的に3社が並んだ状態となりました。
しかし、その措置はドル箱路線である羽田=福岡の赤字化を
招いてしまう結果となりましたが・・。
そういった紆余曲折の中、スカイマークは2004年、
当時のISP(インターネットサービスプロバイダ)であった、
ゼロ株式会社の会長である西久保愼一氏を招聘。
西久保氏が会社合併等を含めた増資計画に参画することとなったのです。
更に2006年に従来のスカイマークエアラインズから、
現在のスカイマーク株式会社へ社名を統一。
業績を黒字に転化させながら、路線拡大を図っています。
もっとも、運航上のトラブルやその他の問題も非常に多いため、
決して誉められてばかりとも言えませんが・・・
(茨城空港を3カ月で見切って捨てるとか)
スカイマークは国内の企業としては独特で、
他航空会社は全て参加している定期航空協会や、
全日本航空事業連合会には一切参加していません。
この事が日本的陰湿体質である、
「実は裏では仲良く皆で利益を取りましょう」的感覚を
破壊する事に成功しているのです。
つまり、ANAやJALに抱き込まれない体質を、
作り上げることに成功しているのです。
現に参加している他企業、スカイネットアジア航空や、
スターフライヤーなどは「コードシェア便」と称して
事実上ANA/全日空傘下企業となっています。
航空業界の風雲児と言えなくも無いでしょう。
JALが弱体化した今、全国の航空会社の殆どを傘下に収め、
巨象となったANA/全日空。
彼らが次に行った事が、「蟻潰し」だったのです。
恐らく、空の便を利用された方なら殆どがこの名前を聞いた事が
あると思います。
スカイマークは、1996年11月に現エイチ・アイ・エス社長である
澤田秀雄氏を大手出資者として設立。
1998年(平成10年)に福岡=羽田路線を運航開始しました。
その料金たるや当時の状況からすれば破格値で、
普通運賃(定価)をANA/全日空、JAL/日本航空の半額程度。
当然ほぼ満席状態で毎日運航されていました。
機内は確かに狭かったものの、少しでも安くという一般消費者の
搭乗は減ることが無く、堅調に業績を伸ばして行きました。
当然、これで面白く無くなったのは既存のANAやJAL。
スカイマークの前後便に、その定価とほぼ同額にした便を設定。
対抗を図ったのです。
この時は顧客が同価格のため分散。
結果的に3社が並んだ状態となりました。
しかし、その措置はドル箱路線である羽田=福岡の赤字化を
招いてしまう結果となりましたが・・。
そういった紆余曲折の中、スカイマークは2004年、
当時のISP(インターネットサービスプロバイダ)であった、
ゼロ株式会社の会長である西久保愼一氏を招聘。
西久保氏が会社合併等を含めた増資計画に参画することとなったのです。
更に2006年に従来のスカイマークエアラインズから、
現在のスカイマーク株式会社へ社名を統一。
業績を黒字に転化させながら、路線拡大を図っています。
もっとも、運航上のトラブルやその他の問題も非常に多いため、
決して誉められてばかりとも言えませんが・・・
(茨城空港を3カ月で見切って捨てるとか)
スカイマークは国内の企業としては独特で、
他航空会社は全て参加している定期航空協会や、
全日本航空事業連合会には一切参加していません。
この事が日本的陰湿体質である、
「実は裏では仲良く皆で利益を取りましょう」的感覚を
破壊する事に成功しているのです。
つまり、ANAやJALに抱き込まれない体質を、
作り上げることに成功しているのです。
現に参加している他企業、スカイネットアジア航空や、
スターフライヤーなどは「コードシェア便」と称して
事実上ANA/全日空傘下企業となっています。
航空業界の風雲児と言えなくも無いでしょう。
JALが弱体化した今、全国の航空会社の殆どを傘下に収め、
巨象となったANA/全日空。
彼らが次に行った事が、「蟻潰し」だったのです。
販売体制が変化して行く
航空券の入手経路は2つあります。
1.航空会社のホームページから直接予約、直接購入
2.旅行代理店を通じて購入
かつては、インターネットなどというものも無かったため、
航空会社は集客の殆どを旅行代理店に頼っていました。
当時から、
空の飛行機を飛ばすよりも、安くても顧客を載せた飛行機を飛ばす。
という目的もあって、航空会社は各旅行代理店に安価で航空券を卸す、
または高めの手数料(キックバック)を支払う事で販売を強化して来たのです。
元々、ANA/全日空も、JAL/日本航空も自社の定価では
価格が高過ぎでしたし。
旅行代理店としても、その手数料に魅せられ、
多くの航空券を店頭販売して来ました。
航空会社と旅行代理店の蜜月はしばらくの間続きました。
やがてインターネットが普及し、航空会社もホームページを持つようになり、
予約などもインターネット上で出来るようになって行きました。
そんな中、2006年を境に状況が変化し出します。
それがANA/全日空の新航空券。
「旅割」の導入でした。
従来は、「バースデイ割引」と呼ばれる誕生日前後の搭乗のみを
直販の格安航空券として取り扱って来ましたが、この適用枠を拡大。
年末年始、お盆と言った特別な時期を除いては、
殆どの時期、殆どの路線に「旅割」を適用しました。
結果的に「旅割」=「安い」というイメージを消費者に植え付けることに
成功したのです。
しかし、元々「旅割」の該当席数は非常に少なく設定されており、
販売開始と同時にSOLD OUTとなることもしばしば。
そうなれば次に「特割」と名付けられた、
二段階目の割引航空券へ顧客は流れます。
しかし、「旅割」と「特割」の価格差はおおむね1万以上の差があります。
そのため、顧客はここで分岐点に立つわけです。
1.ちょっと割安の「特割」を購入する。
2.旅行代理店で「特割」よりも安い航空券を購入する。
ここでも、まだ2.の選択肢は残っています。
ただ、顧客の流れは最初の2分岐では無く、
安い航空券を求めて溢れた顧客を、旅行代理店が掬い取る
というちょっと形が変わった2分岐へ変化して行ったのです。
そんな状況でもJAL/日本航空は耐え切れず失速、失墜。
事実上航空業界の盟主となったANA/全日空の暴走がここから始まるのです。
1.航空会社のホームページから直接予約、直接購入
2.旅行代理店を通じて購入
かつては、インターネットなどというものも無かったため、
航空会社は集客の殆どを旅行代理店に頼っていました。
当時から、
空の飛行機を飛ばすよりも、安くても顧客を載せた飛行機を飛ばす。
という目的もあって、航空会社は各旅行代理店に安価で航空券を卸す、
または高めの手数料(キックバック)を支払う事で販売を強化して来たのです。
元々、ANA/全日空も、JAL/日本航空も自社の定価では
価格が高過ぎでしたし。
旅行代理店としても、その手数料に魅せられ、
多くの航空券を店頭販売して来ました。
航空会社と旅行代理店の蜜月はしばらくの間続きました。
やがてインターネットが普及し、航空会社もホームページを持つようになり、
予約などもインターネット上で出来るようになって行きました。
そんな中、2006年を境に状況が変化し出します。
それがANA/全日空の新航空券。
「旅割」の導入でした。
従来は、「バースデイ割引」と呼ばれる誕生日前後の搭乗のみを
直販の格安航空券として取り扱って来ましたが、この適用枠を拡大。
年末年始、お盆と言った特別な時期を除いては、
殆どの時期、殆どの路線に「旅割」を適用しました。
結果的に「旅割」=「安い」というイメージを消費者に植え付けることに
成功したのです。
しかし、元々「旅割」の該当席数は非常に少なく設定されており、
販売開始と同時にSOLD OUTとなることもしばしば。
そうなれば次に「特割」と名付けられた、
二段階目の割引航空券へ顧客は流れます。
しかし、「旅割」と「特割」の価格差はおおむね1万以上の差があります。
そのため、顧客はここで分岐点に立つわけです。
1.ちょっと割安の「特割」を購入する。
2.旅行代理店で「特割」よりも安い航空券を購入する。
ここでも、まだ2.の選択肢は残っています。
ただ、顧客の流れは最初の2分岐では無く、
安い航空券を求めて溢れた顧客を、旅行代理店が掬い取る
というちょっと形が変わった2分岐へ変化して行ったのです。
そんな状況でもJAL/日本航空は耐え切れず失速、失墜。
事実上航空業界の盟主となったANA/全日空の暴走がここから始まるのです。
2011年1月19日水曜日
誰が彼らを殺したか
まずはこの記事をご覧ください。
10年07月02日(金)
旅行代理店「牧野航空旅行」(札幌)が破産申し立てへ
格安航空券販売業者との競争激化から債務超過に
http://www.hokkaido-365.com/news/2010/07/post-1096.html
次にこの記事をご覧ください。
10年12月01日(水)
第1種アクセスインターが営業停止-全日空代理店、
09年度負債は7.4億円
>http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=47027
いずれも昨年、2010年の段階で巨額の負債を抱えて倒産した
旅行代理店です。
旅行代理店には、第1種~第3種があります。
1種>2種>3種と言った風に、種別の段階に応じて、
取り扱いの出来る旅行商品が異なります。
1種は国内外のパック、ツアー、旅行商品の企画、販売。
2種は国内のパック、ツアー、旅行商品の企画、販売。
3種は1種、2種から仕入れたパック、ツアー、旅行商品の販売。
となっています。
国内でも、1種というのは数多く存在していません。
特に、11月30日に営業を停止し破産手続きに入った、
アクセスインターナショナルは、ANA/全日空から認可を受けた
第1種の認可代理店。
いわば、ANA/全日空お墨付きの旅行代理店
と言っても過言では無いでしょう。
それなのに、アクセスインターナショナルは破綻しました。
表向きの記事にはこう記載されています。
赤字の部分にその本質が隠れています。
実際には、アクセスインターナショナルはその資金フローの中核を、
航空券販売に頼っていました。
その航空券販売自体は堅調で、売上自体は伸びていたのです。
なのに何故?
「利益面では収益性が悪化」
売上に対して、利益は出ていなかったのです。
更に追い打ちをかける事態が発生し、アクセスインターナショナルは
倒産の憂き目に会ってしまったのです。
では、誰が彼らを殺したのか。
何故資金フローが立ち行かなくなってしまったのか。
誰が一体何をしたのか。
次回から順を追ってこの内容をお伝えして参ります。
10年07月02日(金)
旅行代理店「牧野航空旅行」(札幌)が破産申し立てへ
格安航空券販売業者との競争激化から債務超過に
http://www.hokkaido-365.com/news/2010/07/post-1096.html
次にこの記事をご覧ください。
10年12月01日(水)
第1種アクセスインターが営業停止-全日空代理店、
09年度負債は7.4億円
>http://www.travelvision.jp/modules/news1/article.php?storyid=47027
いずれも昨年、2010年の段階で巨額の負債を抱えて倒産した
旅行代理店です。
旅行代理店には、第1種~第3種があります。
1種>2種>3種と言った風に、種別の段階に応じて、
取り扱いの出来る旅行商品が異なります。
1種は国内外のパック、ツアー、旅行商品の企画、販売。
2種は国内のパック、ツアー、旅行商品の企画、販売。
3種は1種、2種から仕入れたパック、ツアー、旅行商品の販売。
となっています。
国内でも、1種というのは数多く存在していません。
特に、11月30日に営業を停止し破産手続きに入った、
アクセスインターナショナルは、ANA/全日空から認可を受けた
第1種の認可代理店。
いわば、ANA/全日空お墨付きの旅行代理店
と言っても過言では無いでしょう。
それなのに、アクセスインターナショナルは破綻しました。
表向きの記事にはこう記載されています。
2009年3月期は航空券販売が好調で売上高が
38億8647万円となったものの、利益率が低下して減益。
22年3月期も、景気後退や新型インフルエンザによる影響を
航空券販売でカバーして41億8371万円に売上高を伸ばしたものの、
利益面では収益性が悪化。
さらに、2009年11月には取引先であったトラベルメディアが
6億円の負債を抱えて倒産した際に4300万円の不良債権が発生。
今期に入って業況が厳しく推移したなかで資金繰りが逼迫し、
先行きの見通しが立たなかったことから法的手続きを決断したという。
赤字の部分にその本質が隠れています。
実際には、アクセスインターナショナルはその資金フローの中核を、
航空券販売に頼っていました。
その航空券販売自体は堅調で、売上自体は伸びていたのです。
なのに何故?
「利益面では収益性が悪化」
売上に対して、利益は出ていなかったのです。
更に追い打ちをかける事態が発生し、アクセスインターナショナルは
倒産の憂き目に会ってしまったのです。
では、誰が彼らを殺したのか。
何故資金フローが立ち行かなくなってしまったのか。
誰が一体何をしたのか。
次回から順を追ってこの内容をお伝えして参ります。
2011年1月18日火曜日
赤い翼、失脚
これまでの日本の航空業界は、
青い翼(ANA/全日空)と、赤い翼(JAL/日本航空)が、
その殆どを牛耳っていました。
2010年1月19日。
負債総額2兆3221億円の赤い翼は、
経営破綻からその日一旦翼をたたみ、
株式会社企業再生支援機構による支援、
及び会社更生手続の開始を行いました。
会社更生法の適用による債権は、
借入金などの負債額がチャラになるため、
負債が無い、いわばゼロスタートとなります。
こういった場合、資金繰りに四苦八苦していた企業が、
一夜にして優良企業となってしまうケースもあります。
当然、資金も使える状態となれば競合他社は不利となるため、
そういった意味で、日本航空は強い財務体質を得たと言えるでしょう。
そんな中、声を荒げてこの措置に反論した人物が居ます。
JAL/日本航空とライバル関係にあった競合他社、
ANA/全日本空輸株式会社の伊東信一郎 代表取締役社長でした。
「日本航空の経営破綻について過度の支援は競争原理に反する。」
ライバル社が発した、一見正当な意見にも思えるこのコメント。
この声明の背景には、ANA/全日空の台所事情が深く関係しています。
ANA/全日空の負債総額、1兆7000億円。
JAL/日本航空の負債総額2兆3221億円に僅かに及ばない程度。
現時点でもこれだけの負債を、ANA/全日空は抱えたままなのです。
「うちだって借金があるのに、JALの野郎は支援を受けやがって!」
伊東氏の言葉の裏には、恨み半分のこのような事情があったのです。
元々世界レベルで見ても、
最も高い航空料金を徴収している日本の航空業界。
それなのに負債総額は・・・。
その原因はどこにあり、彼らは現在何をしているのでしょう。
これからこのブログでは、こんな業界事情をお伝えして参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
青い翼(ANA/全日空)と、赤い翼(JAL/日本航空)が、
その殆どを牛耳っていました。
2010年1月19日。
負債総額2兆3221億円の赤い翼は、
経営破綻からその日一旦翼をたたみ、
株式会社企業再生支援機構による支援、
及び会社更生手続の開始を行いました。
会社更生法の適用による債権は、
借入金などの負債額がチャラになるため、
負債が無い、いわばゼロスタートとなります。
こういった場合、資金繰りに四苦八苦していた企業が、
一夜にして優良企業となってしまうケースもあります。
当然、資金も使える状態となれば競合他社は不利となるため、
そういった意味で、日本航空は強い財務体質を得たと言えるでしょう。
そんな中、声を荒げてこの措置に反論した人物が居ます。
JAL/日本航空とライバル関係にあった競合他社、
ANA/全日本空輸株式会社の伊東信一郎 代表取締役社長でした。
「日本航空の経営破綻について過度の支援は競争原理に反する。」
ライバル社が発した、一見正当な意見にも思えるこのコメント。
この声明の背景には、ANA/全日空の台所事情が深く関係しています。
ANA/全日空の負債総額、1兆7000億円。
JAL/日本航空の負債総額2兆3221億円に僅かに及ばない程度。
現時点でもこれだけの負債を、ANA/全日空は抱えたままなのです。
「うちだって借金があるのに、JALの野郎は支援を受けやがって!」
伊東氏の言葉の裏には、恨み半分のこのような事情があったのです。
元々世界レベルで見ても、
最も高い航空料金を徴収している日本の航空業界。
それなのに負債総額は・・・。
その原因はどこにあり、彼らは現在何をしているのでしょう。
これからこのブログでは、こんな業界事情をお伝えして参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
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