2011年1月25日火曜日

悲劇の始まり

ここから暫くは、アクセスインターナショナル破綻後の
ある代理店についてお話して行きましょう。

ここは筆者の旧くからの知り合いで、
地方で営業をしていた中規模の代理店です。

中規模ながら発券量は結構な数でしたから、
当然、他代理店のように保証金の上積みを要求されました。

同社は苦しい中ではあったものの、ANA/全日空の発券機を
返上するわけにも行かず、ANA/全日空から言われるままに、
それまでの1,000万から1,000万アップの約2,000万円の保証金を捻出。
ANA/全日空に納めて営業を続けていました。

しかし、JAL/日本航空が破綻した事や、ANA/全日空の
手数料大幅削減の煽りを受けて、その経営は決して楽なものでは
無かったようです。

同社は従来からアクセスインターナショナルとは取引があり、
10月~11月にかけて受付を完了していた年末年始の発券を、
12月中旬以降にアクセスインターナショナルで発券し
資金フローを回転させるつもりだったようです。

ところが、11月末にアクセスインターナショナルが破綻したため、
発券先を失った同店は、
それまで極力抑えて来た自社発券をせざるを得なくなりました。

発券をし出して3日後。
ANAセールス担当者から電話がかかって来たそうです。

「発券量が随分大量になっていますが大丈夫ですか?」

ANAセールス担当者は、これまで滅多に顔も出さない、
電話もしないという、いわばプレミア的人物でした。

電話を受けた代理店にしても、
これまでの支払いで一度の遅延も無く、保証金も納めているので
あまり気にしていなかったようです。

しかしここで、ANAセールス担当者は、
意外な一言を発したのです。

「これ以上発券するようでしたら、前払いで入金してください
それが出来ないようであれば、発券用のロール紙は出せません。」

従来、ANA/全日空の支払いサイクルは、1カ月を3分割し、
前月21日~月末までを翌月の10日払い。
1日~10日までを20日に支払い。
11日~20日までを30日に支払い
という形になっています。

同社は既に前月21日~月末までの分を、10日では無く
3日の段階で納めていました。
その直後、また追加で納めるよう指示して来たのです。

それを納めない限り発券はさせない。

発券機があっても、ロール紙が無ければ航空券は発券できません。
彼らはそれを出さないと言って来たのです。

仕方なく同社は言われるままに追加入金を行いました。

しかし更に2日後、また追加指示が来る事となります。
10日間の間に3度支払いをしたのですから、
当然回転すべき資金フローに圧迫が生じます。

こうして同社の悲劇は幕を開けたのです。
 
 

 
 

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