では、何故アクセスインターナショナルが破綻に至ったのか。
今回はそれについて触れて行きましょう。
前回、航空会社の保証金について書きましたが、
アクセスインターナショナルに限らず、大手のエージェントは
最低でも5000万単位の保証金を積んでいます。
この保証金は当然、各社の資金繰りの中から捻出され、
各航空会社に収められます。
収められたらそれが今生の別れ。
勿論、発券機を返納した場合にのみ戻って来るものの、
航空会社によって債権保全費用として保全され、
航空券を発券し続ける以上、二度と手元に戻って来る事はありません。
いわば企業にとっては、自社の金子であるにも関わらず、
資金フローに入れることが出来ない「死に金」に近い形になります。
もっとも、航空会社としても取っぱぐれを防ぐための、
防衛手段としての保証金ですから、いわば当然。
よってこの存在云々をとやかく言う積りは毛頭ありません。
問題なのはその「額」
つい3年程前ですが、別の大手エージェントでこんな事がありました。
その会社は保証金として、ANA/全日空に
1000万円の保証金を納めて営業をしていました。
ある日、ANA/全日空はこんな通達を出して来たのです。
「保証金を1億円に増額して下さい。」
確かにそのエージェントでは発券量も割と多かったのですが・・
1000万の保証金を、突然1億。
通常の資金フローでは考えにくい金額でした。
しかも保証金となれば、死に金です。
1企業くらいなら簡単に倒産してしまう額です。
結果、そのエージェントは発券機を返納しました。
実は、アクセスインターナショナルも同様のケースなのです。
当時、アクセスインターナショナルは5,000万円の保証金を
ANA/全日空に対して納めていました。
ところが2010年11月。
ANA/全日空からこんな通達が舞い込んで来たのです。
保証金を今月中に2億になるよう上積みせよ。
条件を満たさない場合には、12月1日からの発券はさせない。
当然折衝は行われましたが平行線を辿りました。
2億円。
とても月内に用意出来る金額ではありません。
しかも、資金フロー以外に準備しなければならない額です。
発券が出来なければ、当時航空券販売を主体事業としていた
アクセスインターナショナルの営業自体が滞ります。
しかし、今どき2億の金をはいそうですかと準備するならまだしも、
寝かす余裕のあるような企業が幾つもある筈がありません。
「そこまでされるのなら飛んでやるよ。」
新聞やニュースでは資金繰りの悪化だけが取り上げられていますが、
裏にはこういった事情があったのです。
こうして、ANA/全日空の第1種認可代理店である
アクセスインターナショナルは、自らその幕を降ろしたのでした。
そしてここから、ANA/全日空の
全国の代理店潰しが本格化することになるのです。
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